クラファン成功への知恵袋

クラウドファンディングの見返りとは|リターンの種類やメリットデメリット

クラウドファンディングの見返りとは、資金調達による投資で得た利益分を「お返し」として分配するもの。

支援者がプロジェクトに資金を提供する際、それに見合った見返りを受け取ることが期待されます。

一般的に、見返りはプロジェクトの成功に応じて支援者に提供され、支援者の支援金額や選択した支援プランに応じて異なります。

わかりやすく簡単にいうと、見返り・リターンは金銭かモノ・サービスのどちらかです。

・リターンの種類
・メリットデメリット
・設定時のポイント

これらを熟知することで、ご自身のプロジェクトを成功に導くためのリターン設定が実現できます。

見返り・リターンは、それぞれのタイプによって異なる特性を持ち、集める支援者のニーズに合致する利益や報酬を提示することが重要。

では、具体的にどんな見返りがふさわしいのかについて、それぞれのプロジェクトタイプごとに解説します。

クラウドファンディングの見返り・リターンの種類

クラウドファンディングには、大きく分けると2つのタイプがあります。

投資型
非投資型

さらにその中で、以下のように細分化できます。

投資型非投資型
・融資型
・不動産型・株式投資型
・購入型
・寄付型
投資型の特徴は、金銭的リターンなのに対して、非投資型では、モノやサービスを見返りとするのが特徴。

購入型:商品・サービス

購入型は、販売予定の商品やサービスをリターンとして提供するタイプ。
クラウドファンディングで最もポピュラーな見返りです。

開発したい商品・サービスに必要な資金調達
一般販売のテストマーケティング

などのために行われることが多いのも特徴。

商品目当てというよりも、プロジェクトを支援したい方向けの時別な「高額枠」を別途設けることも効果的。

寄付型:見返りなし

寄付型は、物質的なリターンなしの代わりに、慈善・支援活動などに対する「活動報告」などをリターンとして提供するタイプ。
例えば、そのほかだとより多くの支援者を募る目的として、

支援者名の掲載
現地視察

などの見返りを提示するのも多くみられるのが特徴的。

社会貢献への意欲を満たす見返りであるほど効果に期待ができると言えます。

金融型

金融型には、以下3つのタイプがあります。

種類リターン
融資型元本と利回り
不動産型利回り
株式投資型非上場株式の発行

融資型

融資型は、投資家から必要な資金を貸してもらうことで、資金の返済とともに支払う「金利」を見返りとするタイプ。
金融機関の融資と同様、貸付に対する返済義務が発生します。

また、利回りは5〜10%と高い設定のため、投資家からの人気も高いクラウドファンディング。

不動産型

不動産型は、償還金と対象不動産からの以下を原資とした「利回り」がリターンとして提供されるタイプ。

家賃収入(インカムゲイン)
物件の売却益(キャピタルゲイン)

一般的な不動産投資と比較して大きく違うのは、短期間での大きな値動きが起こりにくい点。
クラウドファンディングの場合、決まった賃料と売却益が主な利益となるためです。

株式投資型

株式投資型は、「非上場株式の発行」をリターンとするタイプ。

出資者は未公開株の株主となり、後日配当金を受け取る仕組みです。

評価額が上がる期待値もあれば、倒産する可能性もあるハイリスクハイリターンの投資方法。

積極的に有望企業を探している投資家から支持されることの多いクラウドファンディングと言えます。

クラウドファンディングのメリット・デメリット

クラウドファンディングにおいて、起案者・支援者ごとにみられるメリット・デメリットは、以下のとおりです。

クラウドファンディングを行ううえで、メリットと同時にデメリットを把握しておくことでリスクマネジメントにもなります。

起案者

メリットデメリット
・資金調達
・ニーズの調査
・テストマーケティング
・宣伝広告効果
・リピーター獲得
・返済リスクが少ない
・目標金額に達しない
・リターンの提供
・手数料の発生
・審査がある

プロジェクトを立ち上げる側にとってのメリットは、誰でも資金調達の可能性が広がる点です。
金融機関からの融資が受けられない場合でも、支援金が目標達成できれば事業のスタートが実現できます。

それと同時に行えるのがニーズの調査やテストマーケティング。

販売前にリスクを抑える試験的な意味合いで参加するケースも多いです。

また、これをきっかけにして顧客になってもらえたり、場合によっては話題性の高いプロジェクトとなって宣伝効果にも期待できるでしょう。

クラウドファンディングには基本的に返済義務がないのも大きなメリットです。

反対にデメリットでは、目標金額に達成しないことに尽きます。
頑張って工夫を凝らしながら取り組んだプロジェクトでも、成功の保証はありません。

ただし、失敗するリスクはクラウドファンディングに限った事ではありません。

そう考えると、特段デメリットとして挙げられる点はないに等しいとも考えられます。

リターンの提供
手数料の発生
審査がある

においては、成功した場合に生じるものだからです。
このルールに関しては失敗したらどうなる?で詳しく解説しています。

支援者

メリットデメリット
投資型・高い利回り
・少額から投資可能
・運用中の手間がない
・節税できる可能性
・回収できないリスク
・投資額の上限
・長期的になる傾向
・見極めが難しい
非投資型・寄附金控除の対象
・販売前の商品が手に入る
・プロジェクトに参加できる
・キャンセル不可
・違う用途に利用される可能性

プロジェクトを支援する側のメリットは、投資型では高い利回り設定が魅力と言えます。
前述したとおり5〜10%の利率が多いのが特徴。

非投資型に属する寄付型では、寄附金控除の対象になるケースも。
対象条件に該当するケースか確認が必要です。

参考:国税庁

一方で、投資型のデメリットは回収できないリスクです。
起案者側のメリットとして挙げた「返済義務がないこと」により、ハイリターンである分、ハイリスクであることも知っておく必要があります。

非投資型のデメリットでは、プロジェクトの支援内容とは違った目的に利用される可能性があります。

その場合もリターンが期待できないケースに繋がりますので信頼できるプロジェクトを選ぶ目利が必要とも言えます。

クラウドファンディングの見返りのポイント

クラウドファンディングでは、リターン設定の工夫が成功の秘訣。
また、リターンのバリエーションを多く提示することも効果的です。

例えばCAMPFIRの調査によると、リターンの数が5個以下の場合は目標到達率が約30%だった結果に対し、21個以上のリターンを用意した場合では約60%と2倍高い成果が出ていることに。

また、いくら集まるかも提示する種類によって大きく変動します。

さらに、購入型・寄付型・金融型とタイプによって基準も異なります。
それぞれの具体的な見返りを設定するポイントは以下のとおりです。

ちなみに、CAMPFIREで200万円以上を集めたプロジェクトのリターン数は約12個が平均です。

購入型

購入型のポイントは、モノ・サービスの見返りが他にはない魅力と感じてもらうこと。
なぜなら、支援者のほとんどは数あるプロジェクトの中から、より自分の興味をひく案件を探しているからです。
クラウドファンディングならではの新しい試みが、目標金額達成への強い訴求力となります。

事例①:特別商品の見返り
他にはないオリジナル商品やクラウドファンディング限定品グッズなど、特別感のある「モノ」をお返しとして提供することで、支援者は商品の魅力を支援の決め手とする傾向。
例えば、学校を巨大実験場にするプロジェクトでは、支援者限定の生徒手帳や石碑に名前が刻まれるという面白いリターンが目をひきます。

事例②:体験サービスの見返り
ジム・トレーナーや整体など、実際にプロジェクトのサービスを体験できるリターンによって支援を促進させることも代表的な成功例です。
一例としては、島根・比婆山久米神社の修繕プロジェクトでは、お供えコースとして久米神社を応援すると御奉賛帳にご芳名記帳のリターンを提供。

事例③:チケットの見返り
プロジェクトに関わる参加券やイベント入場チケットなど他のモノ・サービスと差別化できる内容がいい反応を期待できるパターンも。
例として、北海道最古の秘湯に誕生する究極のサウナというでは、日帰りサウナ2時間半貸し切り
というサービスを見返りとしています。

寄付型

寄付型のポイントは、社会貢献に対する心理への共感です。
支援者は対価性ではなく、社会問題の改善に役立つことを目的としているから。
起案者の慈善活動や支援活動などに賛同できる精神からより多くの人が集まるのが特徴的。
中には地域の支援を目的とするふるさと納税を活用したプロジェクトもあります。

事例①:御礼メッセージの見返り
寄付してくれた人に向けてお礼のメッセージを返礼品にするケースは、寄付型の定番リターンとして人気。
他にも、寄付者名の掲載や印字などが多く採用されている事例です。
プロジェクトの実例:
泊まれる駄菓子屋~子どもシェルター~

事例②:イベントサポーターとしての見返り
寄付者へイベントのサポーターという役割や1日店長などの権限を与えるケースも。
イベント開催の支援者を募る場合、入場券や鑑賞券も人気のリターンです。
プロジェクトを一緒に体感して楽しむことで満足度が一層高まるため。
プロジェクトの実例:
リアルレッドカーペット復活、移転後初実施の東京国際映画祭に参加したい!

事例③:特別観覧会への招待&特典の見返り
クラウドファンディング限定の特別観覧会を開催して、オリジナルの特典を提供するリターンもユーザーが集まりやすい例として挙げられます。
それは、より特別感を演出できるから。
プロジェクトの実例:
コロナから復活を目指して2023年『京都祇園祭山鉾行事』サポーター募集

金融型

金融型のポイントは、対象が投資家となりリターンの設定ポイントも大きく変わってきます。

意識したい主な内容は以下の6つです。

リスクとリターンのバランス
競合他社との比較
プロジェクトの魅力を示す
透明性と信頼性
法的な規制や制約
リターンの多様性

ポイント①:リスクとリターンのバランス
リターンの設定は、プロジェクトのリスクと見合ったものである必要があります。
高いリターンを設定する場合は、それに見合った高いリスクを投資家に認識させる必要があるため。

ポイント②:競合他社との比較
同じ業界や分野のプロジェクトが他にもある場合はリターンや条件を比較し、競争力のあるリターンを設定することが重要です。

ポイント③:プロジェクトの魅力を示す
リターンの設定だけでなく、投資家にとってプロジェクトが魅力的であることを示すことも重要。
プロジェクトの成長ポテンシャルや将来性を明示し、投資家の信頼を得ることを意識して計画します。

ポイント④:透明性と信頼性
リターンの設定は透明性を持ち、投資家がリスクを正しく評価できるようにすることも大事なポイント。
リターンに対する説明や根拠を明確に示し、信頼性を高めることが求められます。

ポイント⑤:法的な規制や制約
クラウドファンディングには法的な規制や制約がありますので、それらを遵守することも重要です。
特に投資型クラウドファンディングでは、証券取引法や金融商品取引法などの規制に十分注意する必要があります。

ポイント⑥:リターンの多様性
投資家が異なるリスク許容度や投資目的を持っていることを考慮し、異なるリターンのオプションを用意することが有益です。
例えば、固定利回り型や成長利益型など、複数のリターンの選択肢を提供することが投資家の多様性に応えることにつながります。

クラウドファンディングの見返りについてQ&A

「クラウドファンディングの見返り・リターンとは?」に関してよくある質問を参考にご覧ください。

個人的な理由でもいい?
失敗したらどうなる?
目標金額以上の場合は?
クラウドファンディングのやり方は?

個人的な理由でもいい?

はい。ただし、内容が度を越していると炎上に繋がるケースも。
あくまで支援される側の立場としてプロジェクトを立ち上げるのがマナー。
例えば、Indiegogoでは、個人的な理由のためにクラウドファンディングを使用した成功例が多数挙げられています。

参考:WIRED

Indiegogoとは、サンフランシスコを拠点とし、クラウドファンディングによる資金調達法を提供している企業。

失敗したらどうなる?

クラウドファンディングには2つのルールが存在します。

All or Nothing(成功時実施型)
All in(実施確約型)

それぞれ、選択した以下の内容に沿って対応することとなります。

支援金手数料リターン
All or Nothing受け取れない不要未達成の場合は不要
All in受け取れる必要未達成の場合も必要

また、クラウドファンディング運営サイトによっては、初心者向けにプロジェクト応募前の相談・達成に向けたサポート体制を整えているサービスも用意されています。

詳しくは利用したい運営サイトへお問い合わせください。

標金額以上の場合は?

前述のとおり、以下のルールによって異なります。

【All or Nothing】
目標金額を達成した場合のみ、集まった支援金を受け取ることができる募集方式。
未達成で募集期間が終了した場合は不成立として集まった支援金は支援者へ全額返金。

【All in】
目標金額の達成にかかわらず、集まった支援金を全て受け取ることができる募集方式。

参考:READYFOR

利用するサイトによって規約も異なるため、確認してみましょう。

クラウドファンディングのやり方は?

クラウドファンディングの申し込みからプロジェクト成功までの流れは以下の手順です。

【手順】

  1. プロジェクトの計画
  2. クラウドファンディングの種類を決定
  3. プラットフォームの選定
  4. プロジェクトページの作成
  5. プロジェクトの審査を受ける
  6. プロジェクトの開始
  7. 支援者へ経過報告
  8. プロジェクトの実行・リターンを送る

クラウドファンディングと寄付との違いは?

クラウドファンディングと「寄付」との違いは見返り・お返しがあるかないかの差です。
一般的に言う寄付とはリターンを求めずに金品を贈る行為であるから。 
一方、クラウドファンディングとはお金を贈ることによってリターンを獲得できる仕組み。

ところが、クラウドファンディングの中には「寄付型」というタイプがあります。
前述のとおり、お礼のメッセージや特典などがリターンとして用意されているもの。

ただし、寄付型クラウドファンディングにおいては、支援者は税制上の優遇措置として寄付金控除を受けられることも。
税制上の優遇措置を受けることができる法人に該当する場合のみ税制優遇対象となります。

参考:CAMPFIRE

まとめ

クラウドファンディングの見返りについて紹介しました。

資金を提供してもらうお返しとして送るリターンには、様々な種類があります。

自分のプロジェクトに該当するタイプに合わせ、支援者のニーズに刺さるリターンを工夫・アピールすることが成功の鍵。

実際に成功している実例をいくつも参考にしながら、オリジナリティ溢れる内容を複数提示することにフォーカスします。

魅力的なリターンで目標達成を実現させましょう。